Evangelion Anima 2008 02

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"Making something... Nurturing something is really great. You can see and learn so many things from the process."
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"You mean you couldn't read the questions in Japanese?" "Right, I haven't learned all the Chinese characters yet. We didn't study it in college over there."
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This is the second chapter of Evangelion Anima published in the February 2008 issue of Dengeki Hobby Magazine.

Original Japanese Text

Page 165

"Page 165 illustration by Hiroyuki Utatane"

零号機の墜落が招く悪夢 それは戦いの予兆…それとも?! 新世界エヴァンゲリオンANIMA 3年後の未来、正編スタート!


17年ぶりの”雪“が東京に降る…


STORY

空白の3年から…

 ゼーレを退けたとはいえ、ネルフ日本本部の政治的な立場は微妙だった。世界で唯一.働可能なエヴァンゲリオンを保有し、それに関する貴重な技術情報をもっとも多く有している組織。しかし、ネルフ日本本部はスタッフ・本部施設の大半を失い満身創痍、その独立性を保つのが難しい状況であった。実際、世界各地のネルフ支部は各国政府による接取を受けつつあるとの情報が寄せられていた。

 セントラルドグマ内で“凍っている”人類補完計画の遺物だけは如何なる組織にも渡すわけにはいかなかった。

 3機のエヴァは強力ではあったが局地的戦力にすぎず、複合兵科による継続的な飽和攻撃に晒された場合、どれだけ守れるか疑問視されていた。

 ネルフ日本本部にとって再建の時間稼ぎのための迅速な武装強化が急務となった。そこで目を付けられたのが本部防衛戦で鹵獲したエヴァ量産機の残骸であった。すべての機体がダミープラグと制御系を失い、すでにボディの崩壊が始まっていたが、まだ修復は十分可能と思われた。大破した零号機を再生した際のデータを元にして新たなエヴァが組み上げられていく。空陸海のすべての領域から侵攻してくる敵をアウトレンジで撃破できる戦力、その答えが「ダモクレスの剣」だった。遙か上空の衛星軌道より第三新東京市を守る超遠距離狙撃要塞の建造が決定した。新造した零号機を流用することで、ATフィールドの無敵の楯を、そして量産機のS²機関を再活性化できれば無限の出力が得られる。本来はネルフ日本本部防衛戦で活躍した長距離狙撃兵装「天使の背骨」を使用したかったのだが、F型零号機用の初号の製作中にも大規模な精神汚染事故が発生するなど建造は困難であり、既存技術を転用したレーザーが使用されることとなった。S²機関の超絶な出力があれば使徒級のATフィールドでも貫通可能であると予測されたのだ。

 多くの困難はあったが.ほぼ1年で実戦化にこぎ着けた「ダモクレスの剣」だったが、予想外の事態が起こった。パイロットの問題である。再生した零号機改がテストパイロットのフォースチルドレン・鈴原トウジを受け付けなかったのである。これは、セカンド=アスカ、サード=シンジに関しても同じだった。唯一、ファーストチルドレンである綾波レイのみ起動が可能。ダミープラグ用の調整を受けていた量産機のボディが原因なのか、制御系に試製零号機のパーツを流用したためか?いずれにしても原因を追及している時間もなく、計画は危機を迎えていた。「ダモクレスの剣」は複数機を中高度の衛星軌道でローテーション運用することが企画されていた。第三新東京市防衛戦力の要であるF型零号機のパイロットを宇宙にあげることはできない。また、常に暴走の危険をはらむダミープラグの使用も危険視された。

 そこに、綾波レイ白身から驚くべき提案がなされた。

 「わたしなら、あと3人いる」

 調整槽の事故により大半の綾波レイクローン体は失われていたが、3体のみ「双子のパラドックス」実験用に活性化され難を逃れた個体が存在していたのだ。クローン体にはなぜか人格が発生せず、個としては生きることは出来ない。しかし、同個体である綾波レイからの遠隔感応による活動が可能だった。レイによるクローン体の遠隔操作に距離による損失、タイムラグは認められなかった。

 かくして3機の新たな零号機は、カトル・サンク・シスと呼称された綾波レイ・クローン体とともに2年にわたり、第三新東京市の絶対の守として君臨するのである。


※この物語はアニメーション作品「新世紀 工ヴァンゲリオン」の25~26話の人類補 完計画が発動されず、異なる未来を迎え た碇シンジたちの世界を描いた作品です。

イラスト:うたたねひろゆき

彩色:蘭宮涼

©GAINAX・カラー


Page 166

用字用語

零号機試製Ⅱ式改・領域制圧機「O・OEVA」

"Page 166 illustration by Ikuto Yamashita"

 ネルフ日本本部防衛戦で鹵獲した量産機の残骸をベースにセントラルドグマ内でモスボール保存されていた試作零号機パーツを移植、実戦化した機体。 3機が中軌道に位置し、常にそのうちの1機が第三新東京巾空域を攻撃可範囲とする宙域に駐留する。

 軌道上からのS²機関の大出力を利用した超高出力レーザーによる超遠距離射程射撃により2年にわたり日本本部への外敵の侵入を防いできた。

 パイロットは長期宇宙任務用に特化された綾波クローン体であり、それぞれレイ/カトル、レイ/サンク、レイ/シスと呼称される。 綾波クローン体は通常エントリープラグ内で低活動状態に調整され、第三新東京市空域に突入・警備開始時または緊急事態にのみ起動される。 これは綾波クローン自体に人格が発生せず地上の綾波レイにより同期運用する方法がとられているためである。 なお、複数の綾波クローン体の同時起動は、綾波レイ本体に非常に負担を強いるためまず行われることはない。

 本機は量産機残骸中のS²機関を再利用したものであるが単体での運用が非常に困難である(機動状態を上げすぎると量産機ボディを無秩序に復元。少なすぎるとS²機関が自壊を始める)。 そのため、S²機関自体に量産機として完全な形で体が存在していると誤解させるように、量産機当時の感覚器を圧縮配置した外装と偽の手足に柑当する突起物(パイプ等)を設けてある。 このようにエヴァ本体とS²機関との完全な出力同調はなされてなくエヴァが急な出力変動が生じるような動作を行った場合、S²機関自体が追随することができず危険な余剰出力が生ずる危険性がある。 行き場のない一瞬の膨大な余剰出力は左右の翼の間のブローオフバルブから空中原子を赤熱化するエネルギーの奔流になって放出される。 常に暴走とエネルギーバーストの危険性をはらんではいるがS²機関の超絶な出力は魅力的であり宇宙での限定運用ではあるが配備されることになったのである。




Page 167

前回のあらすじ

"Page 167 illustration by Ikuto Yamashita"

『第壱話 スイカ畑の追憶 ネルフ日本本部急襲』

加持リョウジの活躍により、ゼーレの侵攻を事前に察知したネルフ日本本部はゼーレのエヴァ量産機に対抗するために、初号機の強化と零号機の再生を進める。9機のエヴァ量産機の急襲に苫戦するエヴァ弐号機。その絶対の危機に現れたのはシンジのF型初号機だった。レイのF型零凪号機とのコンビネーションにより量産機は退けられた。だが、生き残った1機の侵入を受けたジオフロントはネルフ本部の人々を飲み込み”凍りついて“しまうのだった。




『第弐話:零号機失墜』

"Page 167 illustration by Ikuto Yamashita"

ノベラ:陰山琢磨

Air raid マイナス540秒――白我のカオス

 遮光サッシを透った柔らかな陽射しが、無駄なく整った横顔を照らしている。

 黄金率みたい。この3年、どんどんキレイになって行くね、この子。――昼休みの閑散 とした教室に、ぽつんと座る綾波を見て、アスカは思う。――まるで、高価なビスクドール。そう、人とは思えない美しさ?


 確かに綾波は、ある意味”人“じゃない。

 無造作なショートヘアに半ば隠れているが、綾波はエヴァ用のヘッドセットを常用している。その足元にすり寄っている「ニャンキチ」は、彼女の莫大な脳内シナプス発火情報を、ネルフ本部へ中継するためのセンシングロボットだ。

 綾波は窓の外を向いているが、いま彼女が見ているのは、高度1600キロの宇宙だ。そこには、姿なきゼーレ残党の蠢動から、人々を守る存在がある。正式呼称「零号機試製Ⅱ式改」という、3機の制宙装備エヴァだ。綾波は、その「目に見える」抑止力を、永らくコントロールしてきた。

 軌道上のエヴァには、それぞれ綾波のクローンが搭乗している。綾波とその姉妹たちは、精神波によるミラーリンクを編んでおり、彼女はどのクローンにも、実時間ゼロでアクセスできる。

 通常、クローンは低代謝フエイズに置かれ、近・類催眠状態にある。綾波は、深い眠りが低くする自我意識の壁を越えて、クローンと精神を同一化し、姉妹たちの五感を通して制宙エヴァ・システムに不都合がないか、こまめにチェックしているのだ。


 アスカはしばらく綾波に見とれていたが、突然、彼女の白い肌が斑(まだら)に上気し、制服に汗のシミが広がるのに気づき、反射的に駆け寄った。

 だが、声をかける間もなく、綾波は震えながら崩おれ、うつ伏せに倒れる。何が起こったのか分からなかったが、最悪、窒息だけは避けようと、アスカは彼女を横臥させるため、肩に手を廻す。

 「触らないで!」綾波の悲鳴に近い叫びに、アスカは思わず手を退いた。「……多すぎるの。感覚が重なって、溢れそぅ……」喘ぎながら仰向けになった綾波は、何かを拒絶するように激しく頭を振り、飛び散る汗がアスカの頬を濡らした。――温かい、これは人の火照り。人とは思えない美しさだって?ばか!なに考えてんのよ、私。

 『本部許可により、類・素体ステータスを開示します』アスカは、いることすら忘れていたニャンキチの声に振り向く。『呼称・卜ロワ/レイは、軌道上クローンの一斉活性化により、大脳各野の精神波I/O処理限界が……』

 「解説はいいの!」アスカは、ニャンキチを叱り付ける。「とっとと、処置法を教えて!」

 「くうっ!」綾波が、体を弓のように反らせる。

 いけない! まさか、悪性症候…――アスカの額に、どっと汗が浮く。――精神波はゼロタイムで到達する、けど、大脳がそれを咀噛するには時間が……。――突然、綾波が右手を突き上げ、指で空をつかむ。「いく。……カトル、だめ、帰っ……」

 『本部許可により、野戦処置プロセスに入ります』

 ニヤンキチの耳の後ろから、コネクタが伸びる。

 『頚動脈上に押し当ててください。マルチピンですから、ずれても大丈夫。おちつい……』

 アスカは乱暴にコネクタ・ケーブルを引き出し、綾波のタイを解いた。次いで襟を開き、時たま、ひくりと震える首元に耳を押し当て、脈動を確認し、素早くコネクタをあてる。ピンが刺さる前に噴射される消毒剤で、彼女の指先は痛いほど凍えた。

 『昏睡スケール(GCS)確認。伝達物質の制御を開始』

 アスカが熱い息を吐いて顔を上げると、心配げに覗き込むクラスメイトたちと目が合う。何か、恥ずかしいところを見られた気がしたアスカは、必要以上に大きな声で叫んだ。

 「なに、ぼっと見てんの! ストレッチャーを!」

 その時、突然地鳴りのような低音が轟き始める。皆、しばらくその音の意味が分からなかった。3年ぶりに聞いたからだ。――緊急避難警報だった。


272ページへ続く

Page 272

『第弐話零号機失墜』

STAFF

制作総指揮・メカデザイン・イラスト:山下いくと

キャラクターデザイン:うたたねひろゆき

ノベライズ:陰山琢磨

企両補佐・文芸:柏原康雄

編集担当:尾上一等・島谷光宏

協力:バンダイ ボーイズトイ事業部

Air-raid マイナス270秒――蹉既

 「指揮官より、ネルフ各部署へ!状況『不期戦闘警戒』!受令次第、確認コード戻せ」

 葛城ミサトは、迷うことなくネルフ本部を臨戦態勢に移した。制宙エヴァの一機、「カトル」が、突如として大減速し、大気圏突入コースに入ったからだ。

 いま中央ディスプレイには、刻々と高度を下げる力トルの軌道が表示されていた。現在、北極圏の南西上空、もうすぐ太平洋側へ現れるだろう。

 コンソールの管制員たちは、全くコマンドを受け付けない力トルの制御を取り戻そうと戦っている。制宙エヴァは、ゼーレ量産機から鹵獲したS²機関を搭載しており、そのパワーとモーター推力なら、墜落10秒前でも宇宙へ戻せるからだ。

 こんな事故はあり得ない。――ミサトはそう確信していた。――軌道上のエヴァが持つ運動エネルギーを突然消すなんて、原子力空母を素手で止めるようなものだもの。制宙エヴァ白身の大推力モーターを使わなくちゃ、あんな減速はできないわ。

 管制員たちの声が交錯している、彼女のヘッドセットに、一番恐れていた秘話通信が割り込んだ。

 「葛城将補へ。戦略白衛隊、統幕作戦課長。ネルフはエヴァ落達軌道を確定したか?」

 「我々は、130秒以内に力トルの制御を……」

 「現在想定の落達地点は、下田水没浅海域。さらに第3新東京へ近接する恐れあり。大圏外でのN2飽和迎撃を許可されたい」

 「ネルフとして、当該作戦の承認はできません!」

 「民間人より、数少ないエヴァが大事かね?諸官らは、大した殺し屋だな」

 「S²を搭載してるのよ!たとえ宇宙でも”暴走“したら、何が起こるか誰にも分かりません!」

 「ゼーレからのエヴァ撃墜宣言が、内閣府に届いたそうだ。その真偽は分からん。だが、この出来すぎた墜落を事故……」

 「損害は食い止めます!」ミサトは課長の言葉を遮って通信を切る。が、そこへ最悪の報告が入った。

 「航法/警戒衛星が、力トルのエントリープラグ射出を捕捉!十勝防空サイトのーR望遠鏡も、射出を確認しました!」

 ミサトは言葉を失った。いまさら、推進機関を制御下に置いても意味はない。力トルの姿勢や機動を統合制御する中枢が消えてしまったのだから。

 「ミサトさん!」初号機でスタンバイしている、シンジの声がヘッドセットに飛び込む。

 「戦白の戦域情報ネット、リンク願います!うまく行くかは分からない――けど、偏向ATフィールドで市街地の前に盾を展開、墜落の衝撃波と動圧に対抗してみる!」

Air-raid カウント0落達

 大気圏突入時、力トルはTNT換算で、およそ110キロトンの運動エネルギーを持っていた。うち64キロトン分は、大気制(ブレーキ)動で莫大な熱に変わり、大気を眩いプラズマに分解して衝撃波と爆風を生んだ。そして着水の瞬間、残る40キロトンあまりは、沸騰する3万トンの水柱を立ち上げ、海底に真円のクレータを穿ち、地層間を複雑に反射しながら広がる、強力な衝撃波となった。

 ATフィールドで、大気中の衝撃波と爆風から市街地を守っていた、初号機の足元が突然崩落した。地中の衝撃波は大気中のそれより、はるかに速く伝播するのだ。シンジが予想もしなかった地中衝撃波に足をすくわれ、初号機はなぎ倒される。ATフィールドは消失し、遮る物のなくなった爆風は街に襲いかかった。


Air-raid マイナス54秒――傀儡(くぐつ)

 シンジの心は千々に乱れている。――力トルは秒速3・2キロで激突した。本体は無事でも、S²が壊れるには十分な衝撃。暴走の季兆が出たら、何とかATフィールドで対抗しなきゃならない。けど。

 戦域情報ネットは、市街地の被害状況を毎秒更新している。皆が安全と信じて逃げ込んだシエルターは経年劣化しており、かなりの数が地中衝撃波で押し潰され、次々と救助要請が上げられていた。

 エヴァの指先は恐ろしく繊細に使える。いま行けば、まだ大勢助けることが……だめだ、畜生!

 シンジの迷いを解いたのは、強烈な指向性を持つ精神波だった。LCLを介して感じるそれは、不可視の明るさと動圧で、指向方位を彼に教える。

Page 273 「わたしなら、あと3人いろ」

 「力トルへ?この強さは……シト?」

 成層圏に達するキノコ雲を頂き、沸き立つ泥流と凝集雲の薄闇に閉ざされた、落達地点に何かが蠢く。そして、茶褐色の水しぶきを散らし、糸を手繰られた操り人形のように、力トルが起き上がった。

 「ウソだ、ダミープラグも入ってないのに!」

 落達時の衝撃で不気味に傾いだ頭部、」肩甲骨が割れたようにずれ落ちた右腕、歪んだ装甲の隙間から海水の白い帯を幾筋も垂らしながら、カトルは市街地へ向い、歩み始める。

 シンジはあることに気付き、ぎりっ、と歯を食いしばって、初号機を疾駆させた。目指すは幽鬼の如き、力トル。

 誰が操ってるかは分からない。けど、きっとカトルのS²機関は、暴走寸前で押さえ込まれてる。急がないと!――いま、シンジにできることは、”誰か“がS²機関を暴走させる前に、強力なATフィールド内にカトルを取り込むことだけだ。

 初号機のフィールド内で、力トルのS²が暴走したら何が起こるだろう。宇宙からの消失?

 超新星爆発?ATフィールドは、いや、ボクの意識は最期まで耐えられる?――その時、風になびくアスカの髪の感触と、翳りのある綾波の瞳が、シンジの脳裏にカットバックした。――負けられないんだ!

 衝撃!特殊装甲がこすれ合う不気味な反響音を立て、初号機はカトルへ組み付く。シンジの前方視野には、外れそうな力トルの頭部、その巨大な受光センサーが、ぐるりと回り彼を見つめる。すでにシンジと初号機のシンクロ率は危険なまでに上昇し、彼の”想い“に応えて、二機を包みこんだATフィールドは強化されて行く。

 ――と・ま・れ! 凍・っ・た・よ・う・に――

 突如、初号機はシンジの制御を離れ、思いもよらない行動を起こした。瞬時にATフィールド径を数十倍に膨張させたのだ。白濁した霧が湧き、瞬きする間に消えうせた時、フィールド内は一万分の一気圧となっていた。海水は蒸発し、空気中の窒素すら凍ってダイアモンドダストを生み、力トルは氷点下200度まで冷却され、全ての活動を停止した。

 生きてる…断熱膨張……エヴァが想いに応えてくれたんだ。シンジは救難コードを発信し、薄れる意識の中、初号機に「ありがとう」と呟いた。


 「大丈夫。もう、歩けるから」

 綾波はそういったが、『チルドレン』確保のため派遣された戦自のティルトウィング搭乗員は、なかば無理やり彼女を抱きかかえ、機内シートへ運んだ。

 アスカは、煤色の灰が降ってくる空を見上げる。北東、街の稜線の彼方には白茶けたキノコ雲。ときたま熱風が押し寄せる中、アスカは一瞬、冷気に包まれた。渦巻く風は白い風花を残して去る。彼女は指先に落ちた雪の欠片が溶けるのをじっと眺めた。

 「雪?というもの?」

 機内から綾波がたずねる。アスカはシートに乗り込んでドアを閉めた。

 「日本生まれだと、見ることないよね。私もずっと昔、アルプス登山鉄道で見たきり……」

 いま、この辺の気象は無茶苦茶だろうけど、雪なんて……シンジにも見せてやりたかったな。――綾波に雪遊びの話をしながら、アスカは思った。

自我侵壟

 深い眠りは自我意識の壁を低くする。

 その夜、シンジの自我境界を越えて、カヲルが訪れた。シンジは、心の中で「夢?」と問いかける。

 カヲルはベッドに腰かけ小首を傾げた。

 『まあ、そんなもんだね。いつもはキミが呼んでくれてるんだ。目覚めた時には、覚えてないだろうけど。今日はボクから来た。伝えておきたくてね』 カヲルから笑みが消え、シンジは不安になる。

 『いま、ボクじゃないボク、”黒い奴“が目覚めようとしている』

 じっと覗き込むカヲルにシンジの不安は膨らむ。見当外れとは思いながら「ボクたちが個を選んだから?」と聞く。カヲルは軽く肯き、笑みが戻る。

 『ボクたち、じゃないだろ?キミが選んだんだ。そのためでもある。だけど、あんなヤツにボクの大切なキミは渡せない。……あいつはリリンの……そう、音楽が嫌いなんだ』


防秘転写不可019・642号(機)

 ・成層圏上層で射出の「カトル」エントリープラグは減速に成功。電磁波迷彩と低空乱数機動で降着点の秘匿が行われたため、発見に16時間を要した。・類・素体クローン「カトル/レイ」の所在不明。プラグ状況より負傷なく離脱の模様。


(以下は目視閲覧のみ)

 ・プラグ内の制御機器は、ソフトウェア変更のみならず、並列処理デバイスの組み換えも行われていた模様。制宙装備エヴァ「カトル」には、最低10ヶ月.白律及び有人宇宙機の接近なし。  現在、その変換法を調査、再現中。


一調したミサトは、書類をフォルダに密閉し、デスクへ放る。

 「死者が、蘇って来たかしら?」

次回予告

天使の墜落は、平和の終わりと破滅の予兆が?

黒き魂の呼び声に応え、墓所より亡霊が立ち上がる。

新たなる装いを得たエヴァンゲリオン弐号機が、悪夢を切り払う!

次回「新世紀エヴァンゲリオンANIMA 第参話黒の呼び声」。

Page 274

SUPER EVANGELION コラボ開始。

"Page 274 illustration of CG model by Bandai"

バンタイボーイズトイ事業部 スーパーエヴァンゲリオン 立体化計画


謎に包まれたスーパーエヴァンゲリオンはココまで進んでいた!?

早くも第一次ボリゴンモデルを公開。


今囲紹介するのは、バンダイボーイズトイ事菐部が製作したポリゴン画像だ。

これに枷下いくとによる監修が加わり 様々なディテールが練り込まれ、立体化されることになる。

「スーパーエヴァンゲリオン]は、TV版エヴァのテスト機ゆえの 流線型のボディラインから、戦闘用にマッシブにリニューアルされている。

これはエヴァを効率よく稼働させるべく 最適化された“ステージ2規格拘束具”を進化させたものだ。

今回登場した零号機改もステージ2規格なので スーパーエヴァンゲリオンとの共通点が各所に確認できる。

腕のフィン、肩のウィングに設けられたレールシステムは ステージ2以降のエヴァに設けられた新設定だ。

エヴァANIMAの立体には、このようにアニメ本編では表現できながった 独自のディテールが施されている。

多くのキャラクターで培われてきたバンタイのポリゴン造形技術があるからこそ 成立するデザインなのだ。