Resources:Evangelion Q Records Collection

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Evangelion New Theatrical Edition: Q Records Collection became available at the theatrical release of Eva Q for 1,500 yen. It features final character and mecha designs from the film, cast interviews and theatrical posters.

Interviews

Megumi Ogata as Shinji Ikari

Original Japanese

緒方恵美 (碇シンジ役)


「そうか、あれを……あれを自分がやったんだ」と14歳で思ったら、どうだろうって……。

——まず、今回の『Q』に対する率直な印象からお願いします。

緒方  きっとお客さんは「これは何?」って浦島太郎みたいな状態ですよね。実はわれわれも同じ立場なんです(笑)。

——台本を読まれてビックリという感じでしょうか。

緒方  年明けに林原(めぐみ)さんから久しぶりに電話があって、吉祥寺で濃厚な飲み会に呼ばれて事前に説明を受けたんです。だいぶ遅れて行ったら庵野さんの他に一部の役者がいて、そこで庵野さんが(三石)琴乃さんに「今回のミサトはこういう設定になったから」みたいなお話を、ちょうどされ始めていたところで。緒方(シンジ)だけは心も身体も中学生のままで、他のキャラは全部時間が経ってる。そしてもう少し若めの新キャラが入るので、20代~30代の役者が新たに参加することになると。

——それで実際に眠りからさめたシンジを収録されたときは、いかがでしたか。

緒方  声録りの時点で、Aパート(シンジが目覚めてからヴンダーを去るまで)は割と画が入っていたんです。なので、シンジに向ける他のキャラクターの目線まで、はっきりわかるようになっていた。まずその表情の怖さにビックリしました。台本上も「冷たく」とは書いてあるんですが、シンジの目線で見上げたカットがあったりすると、いろんな人が見下ろしている構図になるわけで……。特に新キャラの人たちは今までの流れを知らないし、シンジとの直接の関係性もないわけですから、「許せない」と思われるのも当然。だからその分、冷たさがダイレクトに伝わってくるし、中の人(役者陣)もそういう芝居をストレートにぶつけてくる。だからずっと、その怖さに怯えながらも、不安と疑問いっぱいの気持ちでAパートを録ってました。

——実際のシンジそのままですね。

緒方  そうですね。でも、きっとお客さんも同じ思いをいだかれましたよね?「なんでこんなになっちゃったんだ?」って。ミサトさんはサングラスでカゲになってて表情が分かりづらく怖いし、リツコさんは短髪になってて、けっこう……あの、女子はどうしてもそういうとこ見ちゃうんですけど、加齢しちゃってるのまでわかる感じだし……。そんな「いつもなみんな」や「ハジメマシテな方々」がみんな冷たい上に、(庵野さん流の録音なので)ものすごくたくさんテイクを重ねられるわけです。……そう!お客さんと私が違うのは、あの怖い演技を、何度も何度も聞かされたってことでした!「ああ……本当に自分は、なんか、ひとりぼっち……」みたいな気分になって(笑)。かなりの疎外感でしたよ~(笑)。

——物語の主人公なのに疎外感があるのは、どういうお気持ちでしたか。

緒方  シンジが疎外されること自体は、前からよくあることでしたが(笑)。……でも、明らかに前とは違う。あんなに誰一人として近い距離の人がいない、みんなが敵意むき出しにするって感じはなかったはずで、疎外感は前作以上です。しかも『新劇場版』ではTVシリーズと違って、『序』の終わりの方からシンジ的には別の進化を始めていて……特に『破』では、精神的にもう一段上のところに到逹していたから……。

——使徒から綾波レイを助けようとするクライマックスですね。

緒方  ええ。子どもっぽい感じではありましたが、子どもっぽいなりに彼の中にはある種の逹成感があって、そのまま眠っていたはずだと思うんです。その逹成感からの突き落とされ方がハンパない。「なんで--?」みたいな(笑)。

——一度アガってただけに、落差はでかいですね(笑)。

緒方  しかも、さらにカヲルくんの件で突き落とされるわけですよ(笑)。かなりヒドイです。『破』のときも、悲鳴を上げたり咆哮したり、私自身が物理的に身体を痛めつけながら演ってた部分は、やり甲斐はありましたがキツかった。ですが今回は、肉体的にはそうでもないのに、精神的にはもう……いまだかってないくらいに突き落とされちゃった感じでして。かなり辛かったですね。


カヲルとの収録で見えた光景の衝撃

——中盤以後は、カヲルとのシーンが中心ですね。

緒方  ええ。前半はまだ良かったんですよ。「なんでなんだろう?」とまだ探ってる部分もあったし、シンジはシンジなりに強くなってきていたから、分からないなりに「そんな風に言われるいわれはないんじゃないの?」って部分もチラリと見せるし。綾波が迎えに来た時ヴンダーを出て一緒に行くことを選んだのも彼の意志だし……。でもいちばんキツかったのは、カヲルくんに連れられて「君の知りたい真実だ」って見せられた光景です。外の高い階段みたいなところを踏みはずしそうになりながら行って、雲がきれると景色が見えて、サードインパクトの結果が……。しかも「すべてのきっかけは、君なんだよ」なんて言われて……。収録用にいただいた映像を自宅で見たときには何にも描かれてなかったので、具体的な光景は、現場で庵野さんに聞いたんです。それで説明を受けたんですが……。収録時期がちょうど3月中旬で、TVで多く流れていた1年前の災害の映像の、とある街の光景と重なり、「あれが自分の(シンジの)せいだとしたら」と想像した瞬間に、もう……。「うわ---っ」ってなっちゃって……。

——それはかなり厳しいですね。

緒方  ショックを受けている私をみて、いつもマイペースな石田彰くんが、急に立ち上がって、「オ、オガっちゃん、僕、コーヒー淹れてこようか?砂糖とかミルクとか、いる?」とか、「肩を揉もうか?今日は何でもしてあげるよ!」とか急に言い出して(笑)。長年お仕事ご一緒させてもらっていますが、普段絶対そういう感じのことを言う人じゃないんですよ彼は!いやそういうマイペースなところが大好きなんですけれども(笑)。「い、いや……。大丈夫、ありがとう」って返したんですけど、相当ヤバく見えたんでしょうね。「き、君がやったんじゃない、君じゃないよ。シンジだよ」って(笑)。「同じことだよ……」「う、うん……」て、2人でうつむいて終わったんですけど(笑)。優しいんです彼は。とにかく「あれを自分がやったんだ」と14歳で思ったら、どうだろうって……。そう思ったときに感じたまま、もう芝居じゃなくて、言われたときのショックのまま演りました。罪悪感はもちろん湧くけれど、だからこそそういうとき、入っていうのはどこかに救いを……特に子どもだったら求めてしまうんじゃないかって。「だって仕方がなかったじゃないか、そんな風になるとは思わなかったんだ」「それでも一人だけは助けたから、良かったじゃないか」って思って、心を保とうとしていた。でもそのたった一人だと思っていた人も、実は違う人だった。助けてなかったんだ……って。いま、話していてもしんどいんですけど。大人の自分でも耐えきれないなと思うくらいだから、もし自分が14歳のときにそういう風に言われたら、どうしたらいいんだって思って、そこから先はずっとしんどかったです。そして結局は……。その道案内してくれた人でさえ、死んじゃうわけじゃないですか。また例のごとく。

——カヲルの最期は、今回ひとつのクライマックスですね。

緒方  最初のプレスコのときはコンテ撮(画コンテを撮影した仮映像)だったので画がはっきりしてなかったんですけど、こないだ録り直しをしたときには原撮(原画による仮映像)の画があって、完成フィルムに入る撮影処理がなかったんで、かなり細かい部分まで見えてしまったんですよ。それでよけいに「ムリだ!」って思っちゃって、かなりしんどい感じでした。こっからどうやって立ち直るのか、今はぜんぜん見えないです。すいません……。

——いえいえ。シンジとしての心情がよく伝わってきました。

緒方  個人的にはだいぶヤラレたままで出た芝居ですから、完成絵と合わせてみたら、もしかしたらトゥーマッチに聞こえてしまうかも、とも思うのですが、OKが出た芝居ではあるわけなので、ディレクター判断を信じようと。お客さんに何か感じてもらえるものがあればいいなと思います。


対等に出逢ったカヲル唯一の希望も絶望に

——もう少し収録の様子についてうかがいたいのですが、カヲルくんと絡んでのお芝居は久しぶりですよね。

緒方  そうですね。今回は「落ち込んでいるシンジに何か話しかけてくれる人」ってところから始まる関係性。TVシリーズのときって感覚・感情の記憶しかないんですが、昔とは少し違いましたね。前は最初から彼にすがりたくなるような感覚だったんです。周りに誰も頼る人がいなくなっちゃって、そこにカヲルくんが現れるので、「ああ、君が仲良くしてくれるんだね、助かった、救われた」って、そんな感じでした。でも今回は『破』を超えてるシンジなので、目線的には割と対等っていうか……「何だか分からないけど、好意を持ってくれてるらしいってことだけは伝わってくる」みたいな。やはり、だいぶ違うなって思いますね。カヲルくんに引っ張ってもらうとか教えてもらうっていうよりは、対等の友だちに徐々になっていく行程が描かれている感じがする。ガーンと落ち込んでた時に不思議な少年と出会って、いっしょにピアノを弾いて、少しずつ距離が縮まっていく。そんな中で「あれが君のやったことだよ」みたいに言われて、すごくショックを受けるんだけど、その後もまだカヲルくんと話してるうちに、「13号機にいっしょに乗って槍を引っこ抜けば、元に戻るんだ」と言われて、「じゃあ行こう!」と能動的にアクションを起こそうとする。たとえ落ち込んでても、ただ落ち込みっぱなしになるんじゃなくて、人と関わる中で希望を見いだそうとするようになる。そんな『新劇場版』ならではの強くなったシンジだから、カヲルくんとも少し違う関係になっていったんだと思います。

——ピアノをいっしょに弾いて、EVAをタンデムで操縦するとか。新しい要素も入ってますね。

緒方  そうですね、連弾が対等の象徴みたいな……。

——カヲルの方も、急に弱気になるのは新しかったですね。

緒方  そう、そうでした。「初めての想定外」みたいなことを庵野さんが言われてました。カヲルってどんなときでも……最期の時でさえ達観した人だったのに(笑)。今回は今までにも増して、役者側も庵野さんも、少しずつ考えて繰り返し試しながら、録っていたように思います。


女性がたくましく感じられる『Q』

——客観的にはなりづらいと思いますが、『エヴァ』と長いお付き合いをされてきた立場から、『Q』の物語への感想も聞かせていただけますか。

緒方  シンジが本当にシンドイなあ~という感想は、きっとお客目線に自分がなっても変わらないと思うのですが(笑)、個人的には……それぞれのキャラクターみんなが、アスカもミサトさんもカヲルくんも、あれからもう一段ステージが上がったところでの、「さらなる試練」を受けていて、大変だなあと思います。だからっていうか……。救いようのない感じということでは、前の劇場版の最後みたいな終わり方に近いものではあるんですが、あくまでも「近い」に過ぎない。前のときより、ものすごく希望が感じられる。それが具体的に何かは、今は分からないですけどね。だって、今回、女子がみんなたくましいじゃないですか。男はみんなダメだけれどね(笑)。

——そうですね。みなさん毅然と目的をもって行動されてますね。

緒方  うんうん。アスカがまずたくましいし、レイちゃんも分からないなりに何かを感じようとしてる気配があるし。マリはもちろん強いし、ミサトさんもそうだし。なので、女の人に引っ張ってもらおうかと!(笑)。女性陣が「希望」です。シンジ自身はダメですからね、現段階では(笑)。……え?私?私は生物学上は女ですが、ここでは男性脳なので。わたくし(シンジ)のハートは、まったくの絶望です。(ゼーレ風に)絶望only(笑)。

——そこで映画が終わってしまうのも、衝撃でした。

緒方  今回の収録は、庵野さんから「君の思ったように演ってよ」と言われる場面が多かったのですが、やはり『破』でステージが上がっているということで、お願いしていくつかセリフのニュアンスを変えてもらったりもしていました。ですがカヲルくんが逝っちゃうところを録らせていただいた時点で、「どうしよう、この後のセリフ、どう言えばいいのかわからない……」と困ってしまったんですね。そうしたら庵野さんの方から「うん、この後は緒方、しゃべりたくないでしょ」って。「はい!」「じゃ、ここから先のシンジはセリフ全部カットで」「ありがとうございます!」って(笑)。庵野さんとシンクロ率400%になった瞬間です!(笑)。

——すごい。まさにシンクロですね。

緒方  台本には「何をやってもダメなんだ」とか、そんな感じのセリフがいくつもあったんですが。本当に「ありがとうございます!」って感じでした。


劇中の14年間と新たな試練を乗りこえて

——初期のシンジって「EVAに乗れ!」って言われて「乗りたくない」って言い続けてた印象がありますよね。でも、『破』を経た『Q』では「僕をEVAに乗せてください」ってシンジが言ってるのに「乗るな!」って言われる。折り合いのつかない人生だなと。

緒方  ホントそうですよね!まったく何なんですかね~(笑)。でも、仕方ないですね……。14年も経ってるって、あのときは知らなかったわけですし。私だけはまったく『破』の続きでしたが、他のキャストのみなさんも、だいぶ戸惑われてたようでしたね。

——描かれてない14年間を想像されなければいけないですからね。

緒方  とあるシーンのセリフが落ちてこなくて、その理由と改善策を庵野さんに相談しに行こうとしたら、宮村も「私もいっしょに聞いていいですか?」って。「腑に落ちてない部分があるんで、いっしょに聞いて今のアスカのヒントを拾います」って言ってきて……一緒に解決し、一緒に笑顔になりました(笑)。やはり14年間のギャップをどう埋めるか、みなさんそれぞれ苦労されたんじゃないでしょうか。

——14年分、成長したレギュラー陣はどう思われましたか。

緒方  ミサトさんもリツコさんも、今っぽくて格好よくなりましたよね。90年代的な感じが消えて、ちょっと垢抜けて、女性としてすてきな感じに……今、現実世界にいてもおかしくない感じになりました。そうそう、伊吹マヤちゃんはずいぶんしっかりした感じになって、一番変わったかもしれませんね。「これだから若い男は」みたいなことまで言っちゃうくらいに。赤木先輩にあこがれてたのにね。これからは、マヤに惚れる女性が出てくるかも!そうやってみんな大人になっていくのに、シンジは……(笑)。

——そんな録音現場の雰囲気は、どのように感じられましたか?

緒方  私は最初、新メンバーと一緒に録っていました。(大塚)明夫さんと(大原)さやかは別でしたが、他の3人、(伊瀬)茉莉也ちゃんと沢城(みゆき)と勝杏里と、ミサトさん、リツコさんも一緒に。庵野さんが新メンバーに「エヴァの現場は特殊なんで、なんか分からないことがあったら、ベテランの緒方さんに聞いてください」とかおっしゃったおかげで、やや大変な思いはしましたが……。案の定、休憩時間に沢城嬢の質問攻めに!(笑)。エヴァの……特に『新劇場版』になってからの現場は、より庵野さんカラーが強くなり、普通の音響現場より要求が細かく、ターゲットポイントがとても狭い。通常の現場ならOKが出る所を、その何倍~何十倍もかけて、役者さんの芸歴の長短問わず、徹底的に追求をかけた拘りのセリフを録りぬこうとされるので、初めての役者さんだと相当戸惑わられるだろうなと思います。

——中盤以後の雰囲気はどうですか?

緒方  ほぼカヲルくんと二人だったので、お互いに気遣いあい、励ましあってました(笑)。二人で目配せをしたり、片方が落ち込んでるときは、さっき言ったように石田くんがコーヒーいれてくれたり、私が「エヴァのウエハース、意外とおいしいよ」なんて言い出したり。かなり長い時間、二人きりで……最後のまるまる1日は、冬月との会話が一瞬あるくらいで、ほぼ石田くんと二人きりでがんばって乗りきりました。

——冬月との会話も珍しいですよね。

緒方  はい。ただ、そのときのシンジはショックを受けた直後でぼーっとしてる状態だったんで、私としては能動的に清川さんと絡ませていただきたかったんですが、残念でした。

——今回、シンジはピアノを弾くシーンもありました。

緒方  私もピアノを弾くので、あれだけすぐに弾けるようになるなんてムリだろ!と突っ込んでました(笑)。ピアノは難しいですから。きちんと鍛錬を長年積まないとあの音にならない。以前から「チェロうますぎ」って思ってましたが……音楽的な才能のある少年なんですかね。私もチェロは1年くらい触ったことがありますが、ベースよりも弦が太くてものすごく指が疲れるし……もしかすると、エヴァパイロットである事実が、起因しているのかもしれませんが。

——最後の締めくくりの言葉をいただきたいですが、先ほどの「女性がたくましい」というのは、今回の『Q』で非常に重要な指摘だと思いました。

緒方  私が言うのも何ですが、だいたい世の中って女子の方がたくましくできているじゃないですか(笑)。で、男はリードしているように見えて、女子に転がされているという(笑)。これもまた、庵野さんのライブ感?なのかはわかりませんが。ここまで世界がムチャクチャになってしまってるのに、こんなに女性が元気で、「行くわよ!」って男が引きずられていって、そこから何か復活してくるかも……っていうラストの感じ。生命力を感じます。今回、本当に女性陣、格好いい。だいたい周りのキャストを見ていても、まず林原さんと琴乃さんがたくましいし、宮村も沢城もたくましい。尊敬します。

——特に今回の宮村さん、ずっと怒ってずっと戦っていたのが印象的でした。

緒方  あれはすごかったですね。第一、宮村自身、たくましくオーストラリアで子ども育ててますから。「子ども育てるためなら、がんばりますよ!」って。お母さんになった女子は特に強いです。あ、お母さんでなくても、沢城は強いか。……やっぱり男性脳な私だけがヘボいだけでした……(笑)。

——いえいえ、まだ次がありますので。どうも、お疲れさまでした。


おがた・めぐみ 東京都出身。フリー。代表作は『美少女戦士セーラームーン』(天王はるか役)、『幽☆遊☆白書』(蔵馬役)、『めだかボックス』(球磨川禊役)など。

Translated Partially

––From the mid-point on, you mostly have scenes with Kaworu.

OGATA Yeah. Things were still good in the first half. He was still searching for the answer to, "Why did that have to happen?" and Shinji was growing stronger in his own way, and we also got a glimpse of his confusion over the things he didn't understand. And when Ayanami came to get him and they went out in Wunder together, that was by his own will… But, the hardest thing for him, was when Kaworu took him and showed him, "The truth [he] wanted to see." Like stepping along a place that looks like a tall staircase, and then the clouds suddenly part and he can see the scene: the results of Third Impact… And then being told, "Everything happened because of you"… When I watched video we were going to record to at home, the scene was blank, but Mr. Anno described the scene at the studio. I heard his explanation, but… We were recording around March and images of last year's disaster were all over TV and when I imagined, "What if this was all my (Shinji's) fault?" I just… It made me go "Woahhhhhh"….

––That must have been tough.

OGATA When he saw me all shocked over that, the always calm Ishida Akira suddenly got up and said stuff like, "O-Oga-chan, w-would you like me to make you some coffee? Do you like it with milk or sugar?" or "Would you like me to rub your shoulders? Ask me for anything today!" (lol) We've worked together for such a long time, but he's the last person I'd expect that kind of reaction from! Well, that's what I like about him though (lol). I just responded, "N-No… I'm alright, but thanks," I must have looked really freaked out. "Y-You didn't do it, it wasn't you. It was Shinji," he said (lol). "You were thinking the same thing…" "Y-Yeah…" and we both hung our heads in shame (lol). He's such a kind person. Like, I started thinking, what would I do if I was 14 and thought "I did this"… I just kept those feelings in mind and it was no longer acting, I just performed in the shock of that thought. Of course I felt guilt, but, especially when you feel that way, you want to seek salvation from somewhere… especially as a child. "But, there was no other way, right? I didn't think it'd end up like this." "If even one person was saved, isn't that alright?" he thinks, and that's how he bears it. But, that one person [he thought he saved] turned out to be someone different entirely. He didn't save her… Just talking about it now makes me feel a bit exhausted. If I, an adult, feel like I couldn't bear it, how would I feel if I was told that [it was my fault] when I was only 14? That thought really stuck with me. And ultimately… Doesn't even the person who guided him have to die? As usual.


––Kaworu's final scene was one of the climaxes of this installment, wasn't it?

OGATA During prescore, the image wasn't too clear in the animatic, but during recording touchups, they had the keyframes in. The film wasn't finished, but I could see all the fine details. I thought it was just too much, it really hit me hard. How am I supposed to recover from that? I just can't see it. Sorry…

––No it's fine. I really get what Shinji was feeling.

OGATA Personally, I was pretty shocked when I performed that scene, so it might sound kind of traumatic when combined with the finished visuals, but the performance got OK'd and I trust the director. I guess it's good as long as it evokes feelings in the audience.

––This is another question about recording, but it's been a while since you last performed with Kaworu, hasn't it?

OGATA It really has. Their relationship starts out this time as, "the person who said something to Shinji when he was down in the dumps." I'm just going off my memory regarding the TV series, but I think it's a bit different from how it was originally. I feel like he was a lot clingier from the start before. He had no one to rely on around him and there Kaworu appears. It's like, "Oh, you're being nice to me, what a relief, I'm saved." But, this time, Shinji, having gotten through the events of 2.0, meets him on a more level playing field, relatively speaking… "I don't really know why, but he's giving me nothing but good will," something like that. I think it is really quite different in the end. I feel like, this time, it's more than his attraction to Kaworu or what he learns from him -- they're depicted more as friends gradually closing the distance between each other. He meets a strange boy when he's feeling down, they play piano together, and little by little the distance closes between them. And in that [context/relationship] he's told, "You did this," and it shocks him terribly, but when he talks to Kaworu after that, he tells him, "If we pilot Unit 13 together and take out the spears, we can undo everything," and he's all like, "Yeah, lets do it!" It's a much more active act. Even if you slip into depression, it won't be like that forever, you can find hope in your connections to other people. So, because Rebuild's Shinji is a bit stronger, his relationship with Kaworu is a bit different.

Akira Ishida as Kaworu Nagisa

Original Japanese

石田彰 (渚カヲル役)


実は今回の『Q』への前振りというか違和感は、すでに『序』と『破』に仕込まれていたものなんです。「同じに見えるでしょう?でも違うんだよ」っていうことですね。

——カヲルは『序』『破』とも、「前のエヴァとは違う」ことを示すポジションにいました。石田さんとしてはどんな解釈で演じられてきたのでしょうか。

石田  実は『序』の収録をする時、『新劇場版』における渚カヲルはどういう人で、碇シンジってどういう人なのか、庵野監督(※キャストの発言中、「監督」「庵野監督」は庵野総監督の意)からレクチャーをしていただきました。その納得のもと、『序』と『破』の状況やセリフについても、僕なりの理解に基づいて演ってきてます。『Q』もその流れをふまえての演技でした。そうは言っても、『序』と『破』ではそれが具体的に現れるシーンは多くはなかったわけです。なので『Q』は「結局こういうことなんだ」って、ものすごくはっきり分かる……。そういうお話でしたね。

——その核心にあたる「謎」については、みなさんの関心も高いと思います。

石田  腫れ物に触るような言い方をさせていただいてますが、最初に庵野さんから聞いた「設定」については、お伝えしない方がいいと思っています。そもそも『序』『破』の段階で、僕自身が周りから「あれってエヴァのTVと劇場版をもう一度焼き直して映画にしたの?」みたいなことを何度も聞かれたので、僕としては「続きを観て判断してください」としか言いようがなく、やはり僕の口からはとても言えないことなんです。さすがに『Q』を観れば、「焼き直し」という感想をもつ人はいなくなるだろうと思うんですが……。

——カヲルだけが何かを知っているように動いてますが、その状況は役者陣の中でも同じに見えて面白いです。多くの方が『Q』の内容に驚かれたそうですし。

石田  他の出演者の方が今回ビックリしてたってことは、最初に監督から明かされた話は僕だけにされてて、役のポジションと役者が知るべき情報を、きっちりと合わせてくださったということでしょう。逆に僕は今のお話を聞いて「おおっ!みんな知らなかったのか?」と思いました。これまで説明を求めてきた人に対しては言葉を濁しつつも、「焼き直しみたいに思われるのは、非常にもったいないな」という想いと「やーい、引っかかった引っかかった」という想いの両方があって、それを半ば楽しんでる部分もあり、ちょっと残念だなと感じているところもあったんです。

——そんな複雑な想いをされてきた石田さんにとって、待望だったのでは。

石田  「待望の」というよりは、「さあ大変だ!」って感じです。『序』では皆さんご存知の通り出番が少ししかなかったのですが、収録後に庵野監督から「次はいっぱいしゃべるからね」って言われていたんです。ところがフタを開けてみたら、『破』もそんなに出番は多くなかったですよね(笑)。なので今回の『Q』の収録のときは、「いよいよなんだ」と身が引きしまった感じです。案の定、カヲルがあれだけしゃべり始めると、今まで予想していなかったところに話が行ってしまうわけです。もちろんTVシリーズを含めた『エヴァ』の規定路線じゃないところに行くことは予想はしていました。たとえ違う話になったとしても、カヲルが碇シンジに抱いている気分的なもの……そこは変わらない。前回と違う世界だと自分が分かった上で、今回の碇シンジにどういう風にアプローチするのか、みんなが納得するかたちで表現しなければいけないわけです。これはけっこうハードルが高いぞと。なまじ最初から教えられていた分、どうしようっていう想いもありました。違うサイクルとはいえ過去の積み重ねの中で、渚カヲルはこうあるべきとか、『エヴァ』そのものがこうであってほしいという、カチッと決まったストライクゾーンがありますからね。それは外せないです。


イメージのすり合わせでテイクを重ねた収録

——実際の収録に臨まれたときは、いかがでしたか。

石田  実時間としてはもう十何年も経ってしまった石田彰ですし、最初に演ってからシリーズとは離れたゲームなども経てきて、自分の中で次第に消化され、よく言えば熟成してきてます。でも、もし最初のイメージからは変わってしまったとすれば、やはりそうではいけない。今回、『エヴァ』の現時点での集大成としたいというスタッフの想いも感じましたし、そうしたさまざまな要求に応えるのが、すごく大変ではありました。

——庵野総監督とは、どんなやりとりをされたのでしょうか?

石田  シーンを実際に成立させるために、渚カヲルっていうキャラクターはそれで正解なのか、イメージとしてこれでいいのかって固める作業は、テイクを重ねて何度となくやりました。日を改めて丸ごとりテイクを録るという作業もありましたし。ですから、非常に気を遣って演じた作品になりましたね。石田彰が渚カヲルというキャラクターに対して自分の中でもっているイメージと、みなさんが最初にTVを通して受けたイメージと、そのすりあわせをもう一度やってみましょう……。そんな収録だったと思います。となると基本はTVの第弐拾四話ということになりますが、僕の中ではそれを再現したわけでもないんです。改めてTVシリーズを見直してみると、当時なりのベストでみなさんに観ていただいたものではあるんですが、それを正解としてコピーしようとしたわけでもない。実際、『Q』の収録を終えた後での僕の結論としては、当時そのものでもなく、2012年の現段階で僕が感じている「渚カヲル像」そのままでもない。みんながキャラクターに対するイメージをずっと膨らませてきたものがあって、それぞれ「こうであって欲しい」という願いを、もう一度整理して狙ったものになっていると思います。

——なるほど。シンジとは『新劇場版』初になるカラミの芝居がありました。

石田  直接シンジと会話をできたことは、僕にとってものすごく大きいことでした。これまでは、一方的に『新劇場版』の今を生きている碇シンジに対する想いを、ちょっとずつちょっとずつ吐露してきた。それが、ようやく本人と話をすることができた……。これはカヲルにとってはとっても待ち望んでいたことだろうし……。うん……。やはりその直接対面ってことですよね。周辺かち人知れずサポートするよりも、実際に会って話していっしょに時を過ごす。そうしたコミュニケーションをとるということは、『エヴァンゲリオン』という作品にとって、ものすごく重要なことなんだなと改めて思いました。そう考えてみると、周囲から疎外されてしまったシンジが、誰も頼れる人がいなくなったところで渚カヲルと会えること。そこで話が出来たということは非常に大きな意味がある。これまでの2本の映画は、そういう状況をつくるための壮大な前振りだったとも感じます。

——そうは言いつつ、カヲルにはやはり悲劇が待っているわけですが。

石田  過去のTVシリーズを彷彿とさせるシーンやニュアンスの再登場は、それこそ今回の『新劇場版』の『序』と『破』を通して使われてきた手法ですよね。何度やっても同じになってしまう。前のサイクルとは違うはずなのに、やはり同じ轍を踏んでしまう。どうしようもない運命的なものがある。それでも線路のポイントを違うところに切り替えてみたい。大きなものの流れに対して、なんとかあがいてみたいという、そんな想いがあって、生き残るべきシンジの身代わりになっていくんでしょうね。

——いつも超然としたカヲルですが、今回は動揺する演技があって新鮮でした。

石田  渚カヲルはかなりのことを把握していて、何でも知ってて何でも自由に動かせる。ややもするとそう見えますよね。自分の存在理由が分かった上で動いてはいるけど、すべてを仕切っているわけではないってことでしょう。ゲンドウやゼーレたちが世界を把握して自分の思うとおり動かそうと丁々発止しているその上にいて、俯瞰でものを観ているように思われがちなカヲルなんですが、その彼でさえもコントロールする立場の存在ではなかったってことでしょうね。


納得ずくでやろうとピンポイントをねらう現場

——カヲルとして存分に演じられたんだなと、お話をうかがってそんな印象を受けました。

石田  庵野監督に限らずスタッフの方々みんなが、今回のシリーズを『エヴァ』というタイトルの中でも究極のものにしようと努力している。収録も、ものすごくピンポイントをねらって表現しようとしている。そのために「ああでもない、こうでもない」と、みんなでやっている雰囲気を常に感じてます。実際にマイクの前に立つと、僕と緒方さんの二人しかブースにいないわけですが、セリフやシーンの解釈に、他の作品ではありえないくらいの時間を割くんです。「納得ずくでやろう」って空気が常にあるので、作業自体はすごく大変ではあるんですが、「お前、やれよ!」って投げられてるわけではなく、みんなでつくればいいんだって感じです。単なるプレッシャーだけではなく、作品をいっしょにつくりあげる、共同でやっている安心感がありましたね。今回は同じシーンに登場する緒方さんといっしょうに演れたことが、僕としてはすごく嬉しかったです。これまでは基本は僕一人で録ってましたから。

——そのシンジとEVAにタンデムで乗るというのは、カヲルにとっても初体験ですよね。ある種の「ラブシーン」的に解釈される方もいると思います。

石田  僕にはその解釈はできませんよ(笑)。監督の言葉を待っていただくか、真剣に理解しようとずっと追いかけてきたディープなファンの方にお任せしたいと思います。ただ、少なくとも別々の機体で歩んでいるのとは違い、同じ目的に向かっていっしょに歩いていく。そんなつながりの濃さみたいなものは感じました。

——他に印象的だったことは?

石田  ビジュアルで一番ビックリしたのは、月があんなことになってるシーンですね。『Q』は頭からものすごく整った世界が描かれてますから、ショックがありました。きちんとした技術に支えられた環境の中でみんな生活していると見えてたのに、シンジの見たいものを見せようと外に出たら、霧で周囲がよく見えない中から「どーん!」と。見知っていた世界のすべてだと思ってたものと、「君が観たいという現実」との落差が端的に描かれていて、かなりの衝撃でした。

——では、最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

石田  『序』『破』と重ねてきた『新劇場版』のストーリー展開を完全には読みかねていた方にとって、今回の「Q」はまさしく「急展開」だったと思います。でも、実は今回の『Q』への前振りというか違和感は、すでに『序』と『破』に仕込まれていたんです。「同じに見えるでしょう?でも違うんだよ」っていうことですね。『Q』をご覧になったお客さんは、「これってどういうことなんだ?」って碓かめるために、きっと何度も劇場に足を運ぶことでしょう。でも「あらかじめ仕込まれていたもの」と聞けば、その前の『序』と『破』に戻ってもう一回観てみたくなるでしょ?注意深く観ていただけたら、「あっ、ここにネタ仕込んでる」「ここにも」というのが、必ず見つかりますから。最初から見直してみると、『Q』につながるストーリーって、ものすごく納得していただけると思いますし、今回まさに急展開になるお話の後は、「いったいどこに行くんだろう」って、さらに興味深くなるはずです。これだけ既定路線から「どん!」と外れたところに持っていったお話ですから、すでに前のTVシリーズの最後や前の劇場版のエンディングみたいな、ああいう収まり方であるはずはない。僕はそう思っています。そうなると、「いったいどうするの?」「じゃあ、何なんだよ」という風に、次に対する興味がものすごくわいてきますし、皆さんもきっとそうでしょう。ぜひ完結編も楽しみにしていただきたいと思います。


いしだ・あきら 愛知県出身。ピアレスガーベラ所属。代表作は「PSYCHO-PASS サイコパス」(縢秀星役)、「機動戦土ガンダムSEED/SEED DESTINY」(アスラン・ザラ役)、『銀魂』(桂小太郎役)など。

Translated

Ishida Akira (Nagisa Kaworu)

Really, the sense of discomfort heading into "Q" was already put into place by 1.0 and 2.0. The whole, 'It looks the same, right? But it's not,' thing.

––Both Kaworu and the first two installments serve to indicate that 'this isn't the same old Eva.' Mr. Ishida, what's your interpretation and how did it influence your performance?

ISHIDA Actually, while 1.0 was being recorded, the director, Mr. Anno, gave me a lecture about who Kaworu and Shinji are in Rebuild. So, I based my performance [in 1.0 and 2.0] on my own understanding of the information I was given and the situation and lines in 1.0 and 2.0. And the same goes for my performance in Q. That said, I didn't really have many scenes in 1.0 and 2.0. So, in Q it finally hit me, 'So this is what it was all about…' That sort of thing.

––I think everyone's most interested in the 'mystery' at the core of that.

ISHIDA If you'll allow me to take a more circumspect approach, I think the background information Mr. Anno gave me in the beginning is something better left unspoken. Back during 1.0 and 2.0, people around me kept asking, 'Is that another rehash of the TV series in movie form?' and the like, and I couldn't say anything but, 'Please see for yourself.' I don't think anyone will think it's a 'rehash' after seeing Q…

––It's kind of funny that Kaworu seems to be acting on some information only he knows and the same situation seems to be replicated among the cast. I'm sure many people will be shocked by the content of Q.

ISHIDA The thing the rest of the cast was surprised about this time were the things that the director had revealed to me alone in the beginning, and how my role and what I knew sort of lined up neatly. On the other hand, I kept having, 'Ooh! You guys didn't know that?' moments. I had to be evasive with anyone looking for explanations up until now, and I guess I kind of miss the feeling of, 'oh too bad, they think it's a rehash,' and 'heh, they totally fell for it' since that was kind of fun.

––With all those complicated feelings about it, you must have really been looking forward to [getting it over with], Mr. Ishida.

ISHIDA It's less a 'looking forward' to it kind of thing and more a 'man, that was hard!'* As I'm sure you all know, I didn't really appear much in 1.0, but after recording, Mr. Anno came up to me and told me, 'We've got a lot to talk about what comes next now.' Though, I guess if we're gonna open that can of worms, I didn't appear much in 2.0 either, did I? (lol) So when I went in to record for Q, I was all tense, it finally felt like the 'real thing.' To no one's surprise, started speaking more and talked about things no one would have expected up until now. Of course, I'd expected it to go off the established "Eva" course. Even if they talk about different things, the feelings Kaworu has for Ikari Shinji… they won't change. I knew the world was different this time, but, on top of that, I was worried about how to best approach Ikari Shinji this time so that everyone would understand that. That was a high hurdle. I was thinking about how to handle it from the very beginning. How should Nagisa Kaworu be after he's accumulated several different cycles in his past? And Eva itself has a very precise strike-zone, to get it just like it should be. I couldn't lose sight of that.

  • - he's punning 待望 (taibou/long-awaited) and 大変 (taihen/hard)


Multiple takes during recording to polish the finished product

––What was recording like?

ISHIDA Well, it's been 10-something years of real-time for this Ishida Akira and it's been a while since I voiced the original series and the spin-off games, I've slowly digested the role [over the years], I guess you could say [the role] has ripened [inside me]. But, I can't let that change [him] from the original image. It's been really difficult to live up to the various demands of the staff putting this Eva together.

––What kind of exchange did you have with Director Anno?

ISHIDA We had to do quite a few takes to fully realize the scenes and get Nagisa Kaworu, as a character, just right and solidify his image. Some takes took a whole day to get just right. So, it's turned into a very carefully acted piece. The image of Nagisa Kaworu inside Ishida Akira and the image of him when the audience saw him for the first time on TV are now one and the same again… That's kind of how recording went. Well, that would just make it episode 24 of the TV series, but I endeavored not to [merely] reproduce the performance. When you look at the TV series again, everyone was doing their best back then, but I didn't want to just amend and copy that. Honestly, once recording for Q was over, I came to the conclusion that [the end result] was neither just the 'Nagisa Kaworu' of the past or the 'Nagisa Kaworu' I know, now, in 2012. Everyone's impressions of a character are always changing and expanding, and they each have their own hopes and desires for characters, so I think we were sort of realigning those hopes and desires with this.

––I see. And this is the first time in Rebuild that we've seen [Kaworu] interacting with Shinji.

ISHIDA The first conversation with Shinji was really massive to me. Up until now, [Kaworu] has just been one-sidedly expressing his feelings, bit by bit, about Rebuild's seize-the-moment Ikari Shinji. And finally, he gets to talk to him in person… I'm sure Kaworu was anxiously awaiting that moment… Yeah… I guess that's what a face-to-face meeting is all about after all. [It's more important to him to] spend time talking to him in the flesh than it is to support him, secretly from the shadows. It reminded me how central of a theme communication like that is in Evangelion. When you look at it like that, once Shinji's been estranged from everyone and has no one to lean on, that's when he meets Kaworu. The fact that they manage to have a conversation at that point is incredibly significant. I feel like first two movies were the perfect set up for that situation.

––That said, Kaworu is a bit of a tragic figure, isn't he?

ISHIDA The first two films in Rebuild were used to vividly remind the audience of specific scenes and nuances of the original TV series. No matter how many times it happens, it always ends the same way. It should have been different from the previous cycle, but the same mistakes are repeated once again. He has an unfortunate destiny. But, it's like he switched tracks at a different point this time. {train track/destiny metaphor, suddenly I'm reminded of Penguindrum…} It's like he struggles against the flow [of his fate] and sacrifices himself so that Shinji can survive [because Shinji has to survive].

––Seeing the always aloof Kaworu acting more agitated was quite refreshing.

ISHIDA Nagisa Kaworu understands most things, he knows everything and has absolute freedom of action. He seems rather capricious, don't you think? He acts on the knowledge of the purpose of his existence, but it's not like he can control everything. He clashes with Gendou and Seele and co. who are acting on their own understanding of the world, Kaworu has a sort of bird's-eye-view of it all, but even in that role, he's not in a position of control. {way to not really answer the question, Ishida}


––I get the impression from our talk that you really put your all into playing Kaworu.

ISHIDA All of the staff, not just Director Anno, are very personally invested in the current series under the Eva title, so I'm putting up my best effort. Even in recording, we were trying to get everything down very precisely. So everyone was always going, 'not this or that really,' and so on. When I was standing in front of the microphone, it was just me and Ms. Ogata alone in the booth together, we spent much more time interpreting scenes and lines than would possible on other projects. There was this atmosphere of, 'let's do it right after we understand it' so the work itself was actually really hard, but, no one ever started shouting, 'hurry up and do it!' there was a real feeling of everyone working together on it. It wasn't just simple pressure, but there was this [strange] sense of security in the knowledge that we were all working together to create the end product. I was really happy to be able to perform in the same scenes with Ms. Ogata this time around. Up until now [on Rebuild], I'd been recording all alone.

––Piloting an Eva in tandem with Shinji is a first for Kaworu, isn't it? I think you could interpret it as a sort of 'love scene' in a sense.

ISHIDA I don't know if I can make that interpretation (lol). I think you should wait to hear from the director or leave it to the really involved fans. But, at the very least, them getting in the same unit is different, as they both pursue the same goal together. It seems [representative] of the depth of their connection.

––Any other impressions?

ISHIDA I think the biggest shock, visually, was how the moon ended up looking. From the very beginning, the world of Q is depicted beautifully, so it was quite a shock. Even though you could see everyone living their lives in the intricately crafted environment, what Shinji wants to see stands out, like a 'bam!' appearing from a thick haze. It's like, you thought you knew everything about the world, and then it just slaps you in the face with, 'this is the reality you wanted to see,' it was quite impactful. {haven't seen the movie so I don't really know what he's talking about}

––Alright then, how about a final message for the fans?

ISHIDA I'm sure those of you who have thoroughly read into the stories of 1.0 and 2.0 of Rebuild so far will think Q was a rather 'fast development.' But, 1.0 and 2.0 already developed the sense of malaise leading into Q. It's like, 'It looks the same right? But it's not.' To those of you who saw Q, please go back to the theater a few times to figure out, 'just what is the meaning of this?' But, if you were to ask 'how to prepare for it?' I'd ask that you return to 1.0 and 2.0 and watch them again, right? If you watch very carefully, you'll see, 'oh, this is where that's from' 'and here too' for sure. I think, if you watch it over from the beginning again, you'll see how Q fits into the story for sure, and I know you'll be even more interested in 'where does it go from here?' after Q's rapid development. Since, at this point, we've just jumped past the established cannon with a 'bam!' there's no way it'll end like the TV series or previous movie {EoE} now. At least, that's what I believe. If you look at it like that, I'm sure you'll all be really exited to know 'but what happens now?' and 'then what?' for the next one. Please look forward to the conclusion.

Megumi Hayashibara as tentative name: Rei Ayanami

Original Japanese

林原めぐみ (アヤナミレイ(仮称)役)


レイちゃんには、疑問が無駄……むしろ邪魔なんですね。いらないんです。だから私も、ただ事実だけを受け止めて、落とし込んで肉声にしています。

——まったく新たな物語となった『Q』は、いかがでしたか。

林原  「『破』で破れきったんだな―」というのが第一印象ですね(笑)。知っているシーンや懐かしいシーンが一個もないやと。過去にオマージュされているシーンやリンクしているところって、いっさいないですよね。

——今回の新しい物語や設定については、どう対応していかれたのでしょうか。

林原  正直言って、自分が出てないパートは知らないんです。出てるところも、画は完成してはいないので、監督に「どういうことですか?」と聞きながらという、特殊な録り方をしています。劇場版の場合って、普通は最初から最後までストーリーを把握した上で、自分のポジショニングに落とし込んで、そこにだけ集中して演るものなんですが、これはホントに分からない。やっぱり『エヴァ』だから許される録り方だとは思います。ただ、私としてはこれだけ長く演ってきているので、他でどんなことが起きていても、レイちゃんはレイちゃんでしかない。彼女のことだけ考えて演ったので、分からないことがつらいというわけではないんです。

——とは言え、長く出ておられる方にも驚きがあったのでは。

林原  確かにファーストシーンを見たときにはね、「これってシンジくんの夢オチになるんじゃないか」って思いましたよ(笑)。とある会で庵野さんが「今度は戦艦に乗るんだ」と言ってたんですが、てっきり冗談だと思ってたんで、「ああ、ホントだったんだ」って。その印象と「どうも本当に時が経っているらしいぞ」というのが分かって、「どっこへ行くのかな―、このエヴァンゲリオンは?」という衝撃はありました。そこはおそらく初めてご覧になった観客の方々と同じだと思います。

——そんな状況をふまえて、どのように収録を進められていったのでしょうか。

林原  ホントに小さなセリフを何テイクも録るのはいつもどおりですね。庵野さんの脳の中には、気に入る音があるみたいなんです。単なる音じゃなく、感情の乗っかり方含めてですが。「はい」という返事ひとつにしても、込めすぎたとか外側にいすぎたとか、その辺のサジ加減がね。今回、レイと言ってもレイじゃないので、その辺で若干の調整はありましたが、淡々と録ってましたね。それでレイが増殖するシーンが気になったので、「これって何でしょうか?」と聞いたら庵野さんから明確な回答がありまして、ここでその内容は言えませんが、鶴巻監督たちスタッフが一様にオタオタし始めたんです。後から「ありがとうございます。アフレコ現場でいろんなことが明らかになるものですから」とお礼まで言われたので、「どういうものづくりかいな?」って思ったのが一番印象的でした(笑)。

——すべてを明らかにしないまま進めるのも、『エヴァ』の特徴のようですね。

林原  結局、すべては庵野さんの脳の中で起きていることなんですかね。それを伝え損ねているのか、あるいは急にひらめいちゃうのか。追っかけるのか、いつか噴射するのを待っているのか、すべて信頼のもとなんでしょうけど、もう、エヴァンゲリオンのスタジオは、ただただエヴァンゲリオンのスタジオであるというだけであって、この作り方はどこの誰も継承することも模倣することもできない。そんな空間になっています。新キャラの人たちも、きっと大変だったでしょうね。私だってすごく何度も録り直しますし、「すごくいいから、もう一回」と言われて、「あっ、出た!」という感じで、別に「監督は私に何を要求しているのかしら」と頭かかえて膝かかえたりすることはないんですよ。ただ「あっ、違うんだな」と。どっちのニュアンスが欲しいのかな、右かな左かな、斜めかな、という感じです。

——庵野さんのストライクゾーンが狭いということですか?

林原  いえ、きっと、ドはまりじゃないからなんですよ。ちょっとだけズレてる。監督はど真ん中ストレートか、逆に手を伸ばしても拾うこともできない想定外のボールじゃないと、オッケイにならない。少なくともレイについてはそうですね。特に彼女は精神性がどこまで声に乗っているか、ニュアンス重視の子ですから。嬉しさがあっても出過ぎちゃダメだし、でも嬉しいという気持ちはある。それは声には乗らなくて表情だけで見せる方がいいという場合もあるし。そんな感情の波みたいなものが、ホンの1ミリずれても彼女の性格を左右してしまうので、なおさらだと思いますね。


別レイを演じる上でもいつもと変わらない

——それほどシビアなものだとして、今回の別レイ(台本上での仮表記)はどう演じられましたか?

林原  とても申し訳ない言い方になるんですが、私は「別レイ」に相当する仕事をやりすぎてしまったんですね。関連商品では、本来のレイが絶対に言わないであろうセリフも言うわけで、それがすでに「別レイ」なんです。庵野監督の脳みその中からプリントアウトされたレイだけが唯一のレイだと私の中では思っているので、だから監督の指示にしたがって動けばいいという感じです。ドラマチック的なものや衝撃があったとしても、「私を見て衝撃を受けたことが何?」っていう感じなんですね。私は私として存在しろと言われているから、ここに立っている。それがすべてなんです。

——いまちょっと感動してます。その発想自体が、綾波レイそのものなので。

林原  私はレイとしてしかスタジオに行ってませんから。前に『破』ではおみそ汁飲んで「おいしい」って言ったのが話題になりましたが、別に「おいしい」と思ったから、そう言っただけですけど……って。たとえ方が強引ですけど、普通の人が気分を変えたくて髪の毛を切ったとして、「何があったの?」「失恋?」とかあれこれって騒がれても、本当に「別に。暑くなってきたから切っただけ」ってことあるでしょ?それくらい彼女の中で起きていることしか、私は追っていないんです。それに対してシンジくんがどう思ったかとか、どう描かれているかとかは、自分が演じたことを一回すべて忘れて、劇場で映像を見て、初めて味わう感覚なんです。今はまだ完成していないので、そこに至っていませんね。

——今回、別レイのプラグスーツは黒なんですが、それはどうでしょうか。

林原  あっ、そうなんだ。ぜんぜん知らないです。黒なの?あら、すてきね。私、黒好きだから。白も好きだけど。でも「え?黒ですか」としか思わないんです。「着ろと言われれば、黒着ますよ」ってぐらいのことですね、私にとっては。やっぱりその辺なんですよ。そうした情報が、私にはいらないんです。他の作品だったら「なぜ黒なんですか?」という疑問や、それを私はどう受け止めて、どうリアクションすればいいんですか、ってことになるんですけど。彼女はプラグスーツが黒だってことに何の疑問も抱いていないだろうし、もしも「前の人は白だったのね」というセリフが仮にあったとしても、事実だけ。「なんで私、白じゃないのかしら」っていう疑問はおそらくいらない。そこには別に何にもない。もしあれば監督から指示があると。

——それも綾波レイとゲンドウの関係性を連想させるので、すごいです。

林原  そうかな……。やっぱり私もレイちゃんと付き合い長いですからね。感覚を共有しないと、彼女にはなれないので、いちいちいろんな感情に振り回されていてはね……。すでにいろんなインタビューで言ってるんですが、TVシリーズで自爆したところで、私の中のレイは一回終わってしまったんです。それ以外は全部「別レイ」なんですよね。ただ、今度の『序』だけは少し前のレイちゃんに再会できた気がしました。それまでは何度同じセリフをしゃべっても、すべて別レイで。でも、久しぶりに会えたと思ったのに、『破』では使徒に取りこまれて、「ああ、今回のレイはこんな成長の仕方をするのか……」と思ったら、案の定、閉じ込められて救い出されず、「やっぱり次が出てきたか……」と。そこは淡々としてます。レイちゃんには、疑問が無駄……むしろ邪魔なんですね。いらないんです。だから私も、ただ事実だけを受け止めて、落とし込んで肉声にしています。


現実に起きていることを取りこんでいく現場

——とはいえ次回作もまだありますし、今後に期待することはありますか?

林原  なんか……ちょっと面白くなっちゃったな(笑)。TV録ってたときも毎週録ってたわけじゃないんです。監督が「ライブみたいな感じでやりたい。そのときの瞬間瞬間の気持ちだけでやりたい」って言ってて、今回はそれに近い感覚がありますね。監督がいま描きたいエヴァンゲリオンの着地点って、一応は決めてあるにしても、それが変わっちゃうこともあるでしょうしね。時代の中で。

——それはありえますね。日々事件も起きるし、時間経過も積み重なりますし。

林原  劇中では14年経ってるんですよね。前のアフレコ中には役者が「声が歳とった」と、失礼なことも言われた!なんてエピソードも聞きましたけど(笑)。私は過去のエヴァを見返して臨んだってこともあるし、レイちゃんは基本歳をとらないだろうから、私の中の時代感をわーっと巻き戻して挑みましたけど。『序』『破』では、他の役者さんは、あえて、年齢をとったなりの「今」の芝居をしようとしたら、前の芝居を要求されて戸惑った、なんて話も漏れ聞こえてきて……。それで14年経った設定になったのかなって、勝手に思っちゃったのね。まあ、本当は前々から考えていたことかもしれないんだけど……、わかんないや。あえて、探りもしないし。この変化の感覚が、TVのときに非常に酷以していて、何か監督がインスパイアされたことによって、先が変わっていく感じ。あくまであたしの中で、ですけどね。何でもいいんですよ。描きたいと思ったことを大人の事情の中でも、しっかり描ききれていればね。エヴァンゲリオンスタッフの方たちが。この先、どういう展開にされても、驚かないですね。ぜひ、お客さんといっしょにビックリしたいと思います。CGを含め現在の技術によって、エヴァンゲリオンの世界の独自性がより拡がりましたしね。使徒とか超セクシーだし(笑)、常に新しさがスタッフの中にあるってことが、すごいなって思います。

——林原さんは、長く続いてきた『エヴァ』という作品をどう見られてますか。

林原  やっぱり作品として世に公開されたとたん、過去のものになっていくものじゃないですか。前のときも「エヴァみたいな作品」とか「綾波レイみたいなキャラ」とか、「エヴァ風なもの」をいっぱい生み出したわけですよね。今回も結局、『エヴァ』が投じた『Q』としてのクエスチョンって、「エヴァはエヴァを超えていかなければいけない」ってことじゃないでしょうか。何しろ「エヴァ風」「綾波風」なものの元ですからね。

——「エヴァによってエヴァを超える」というのは、庵野総監督の大きな課題だと、『序』のときにうかがいました。

林原  あっ、そうなんですか。じゃあ、いいこと言った私(笑)。かと言って、そんなに「新しいもの」「新しいもの」って言われても、わいて出てくるものでもないですからね。それをふまえて、きちんとエンターテインメントにする作業を続けているのは、すごいなって思います。ですから、プラグスーツが何色になろうとも、参加できてて幸せです。

——綾波以外にも林原さんは碇ユイも初号機も演じられて、まさに物語の中心にいるわけです。でも、その中心にある種の空虚さが垣間見える感じに、今日はぐっときました。

林原  削って削って削ってレイちゃんにたどりついてますからね。いらないものはいらないんです。感情の起伏、興味や関心についても。伝えたいこと、いま感じていること、しなければいけないこと、碓実に見えていること。それ以外は何もいらない。レイにも私にも……。そんな感じです。


はやしばら・めぐみ 東京都出身。ウッドパークオフィス所属。代表作は『らんま1/2』(らんま役)、『スレイヤーズ』(リナ=インバース役)、『名探偵コナン』(灰原哀役)など。キングレコード所属の歌手としても活躍中。

Translated

Hayashibara Megumi as Ayanami Rei (Tentative Name)

It's pointless to speculate about Rei-chan… actually, trying to do so only makes things worse. I don't see the point. So, I just react to whatever situation I am faced with at that moment and voice her naturally.

--- How do you feel about Q being a completely new story?

Hayashibara: My first impression of it was "It really destroyed 2.0!" (laughs)* There aren't any familiar or nostalgic scenes in it at all, and there are no homages or scenes linking this movie to the past.

  • (she used a play on words here: 破 is the Japanese title of 2.0 and 破ぶる, which uses the same kanji, means "to destroy.")

--- How did you handle the new story and setting?

Hayashibara: Frankly, I don't know anything other than my parts. When I was recording, there were parts that weren't fully drawn yet, so I had to ask the director "What's going on here?" which is an unusual way to record. For normal movies, you know the entire story and exactly how your character is involved in it when you voice them, but this was just so different. I suppose it's okay because it's Eva. But in the end, it doesn't matter because I've been voicing Rei-chan for so long, and in the end Rei-chan is just Rei-chan. I did my lines while thinking of nothing but her and it wasn't really difficult.

--- But some things surprised even a veteran like you, right?

Hayashibara: The first scene definitely surprised me. I thought, "Is this all just a dream of Shinji's?" (laughs) Anno-san said "They're going to ride a battleship this time." during a meeting, and I thought "Oh, they really do ride one!" It gave me the impression that a lot of time really had passed since 2.0. I was shocked and wondered, "I wonder where Evangelion's story is going now?" I think viewers probably had the same impression that I did.

--- How did you manage recording without knowing all the details?

Hayashibara: Like usual, I had to do countless takes for short lines. Anno-san knows how he wants it in his head. He doesn't want lines that are merely spoken; he wants lines to be delivered with emotion. Even for a simple line like "Yes," he would say "You're putting too much into it" or "You're not putting enough into it." This Rei is a different Rei, so I voiced her as being indifferent. When I asked Anno-san "What's going on in the scene with the multiplying Reis?" he gave me a clear answer which I can't disclose here, but Director Tsurumaki and other staff were super shocked. Later on, they said, "Thank you. We were able to understand a lot thanks to listening to that recording session." Their comment made me think, "Anno-san's craftsmanship is really something." That's what I found most impressive about the whole thing. (laughs)

--- Having to progress without knowing completely what's going on is typical Evangelion, isn't it?

Hayashibara: In the end, it all depends on what goes on in Anno's head. I wonder if he thinks hard about ideas or if they just suddenly occur to him. If he chases after them or waits for them to gush out. It's all based on trust, and that's why the studio behind Evangelion is completely unique and nobody can equal or imitate it. That's the air they give off. I'm sure it was hard for the new characters, too. Even I had to repeat lines countless times. I'd be told "You're doing great, so let's do it one more time!" and I'd think "Ah, they told me to redo it!" I never had trouble understanding what they wanted me to do or had to think hard about it. It was just "Oh, I didn't do it correctly." It was a matter of getting the nuance they wanted. The difference between right or left or diagonal.

--- So you're saying that Anno-san has a narrow strike zone?

Hayashibara: No, I don't think he's fanatical about it or anything. He's just slightly off-center. If a director is completely straight down the center he won't be able to reach out his hand and catch a legendary ball. He won't be able to get anything good. At least that's how it was in my case with Rei. It was important to get the nuance right with her because she's such an ethereal character. I had to take care to convey her feelings of happiness without overdoing it. I think having her feelings expressed through her facial expression rather than her words is best sometimes. Her emotions are like waves, so if I was off by even one millimeter it would affect her character, and I'd have to redo it.


Yuko Miyamura as Asuka Shikinami Langley

Original Japanese

宮村優子 (式波・アスカ・ラングレー役)


「歩き出したのね、とうとう」みたいな感じです。

——まず台本をご覧になって、率直な第一印象をお願いします。

宮村  最初の1回読んだだけでは、全然イメージが掴めなかったです。ただ新作っていうことは、しみじみと感じました。なんていうか……。歩き出したのね、とうとう。この日が来ちゃったのね。みたいな感じです。役はすべての時間を過ごしてきて、『Q』のことをわかってるだろうけど、演じる側は、台本もらった時点では、『Q』を初めて映画館で見るお客さんと同じで、なにがおきたのかどうしてこうなってるのか、まったくわからないままですよ。何度読んでもイメージがはっきりつかめないままで。わからないけど、とにかくアフレコ現場に行ってみたら、なんかわかるだろうと。エヴァっていままでもずーーっと、そうだったから、とくに気持ちのなかはあわてず、さわがずって感じでした。エヴァのおかげで、何があっても動じない精神力を身につけたというか、慣らされた、みたいですね(笑)。でもなんか、肌ではざわざわとしたもの感じてました。んーーー、虫の知らせっていうか……。異物を飲み込む前のような嫌な感じ?っていうか。でもどんな末来でも受け人れなきゃいけないっていうのはもう覚悟してたし。腹は決まってました。

——アスカについては、どんなことを感じられましたか?

宮村  生死不明だったから、そこを心配してくれる『破』を見たお客さんが多かったんですけども。とにもかくにもまあまずは生きてて、で、戦ってると。だけども生きてるには生きてるけど、完全に『破』のアスカとも今までのどのアスカとも、まったく違う新しいアスカですね。ま、つまりやっぱり、歩き出したんだな、ていう思いですね。「あんたバカァ?」はもう卒業じゃないですかね?寂しいけど、アスカの幸せを信じて、ちゃんとこの1歩を歩きだすからねって。そういうふうにキャラに語りかけてあげてはいないけど、まあそういう気持ちです。

——アスカの演技については、どんなことを留意されましたか?

宮村  演技については、監督やスタッフの皆さんと話しあって、進めていきました。話しあうといっても、私の方は「なぜ?こうなってるんですか?」という質問ばかり……。で、「こうだよあーだよ」と、答えてもらうってことなんですけど。たとえば、ここで言っていいのかわかんないけど。精神的には14年経過、肉体的には14歳のままというギャップという「エヴァの呪縛」のことだって、ほんとに突き詰めたら、「なんで?なんで?」ばっかりになっちゃう。だから説明してもらったら、もうそれはそうなんだ、と。そうしていくうちに監督が、「アスカはもうプロの傭兵なんだ」って、おっしゃって。武将とも言ってたかな?アフレコはだいぶ前にやったんで、そのあたり詳しいやりとりは忘れちゃったけど、プロの傭兵で武将で眼帯ですよ。やっと今回のアスカのイメージが、自分でできはじめた瞬間でした。

——アフレコの実作業について、現場の雰囲気など感じられたことがあれば、お願いします。もし、印象に残ったことなどあれば。

宮村  一人のアフレコだったから寂しかったけど、今回は一人のアフレコの方が、役作りというかシチュエーションには合ってたかも。思い出深い出来事は……。猫です……。猫に悩まされました。あのアフレコ日から、猫が頭から離れません……。

——オーストラリアからのご参加ということも含め、宮村さんご自身の変化とエヴァという作品の変化の関連で、何か感じられることがあればお願いします。

宮村  オーストラリアに住んでもうそろそろ4年です。その間に下の子が生まれて、その子も1歳半になろうかというとこで、自分の人生の変化にあえて合わせて考えるなら、新しく歩きだした『新劇場版エヴァ』、私の1歳で歩き出した息子君への思いにちょっとだけ似てるかな?最初にも書いたように、ついについにアスカが、って寂しいような、楽しみなような、頼もしさとか、嬉しさとか混ざったような。息子も転んでも転んでも、自分で立ち上がってカッコ良かったですよ-。母は息子の幸せを信じて、後ろから見守ってあげるしかなく。なんて。かわいくってついつい手を差し伸べちゃうことも、いっぱいありますけどね!親ばか話ですみません。

——宮村さんにとって、次で完結予定の『新劇場版』という作品は、どういう存在になっていきそうでしょうか?アスカの行く末や物語への期待などありましたら、お願いします。

宮村  何回も言うように、「アスカの行末は幸せ」って信じてるから!エヴァ始まって以来、ずっとそれだけが願いだったから。アスカが幸せならどんな結末でもにゃ-!でもわん!でもま、とっくの昔に腹くくってるから何が来ても、かーちゃんはがんばるよ!……ってな感じで、大丈夫っす!(メール取材を再構成)


みやむら・ゆうこ 兵庫県出身。東京俳優生活協同組合所属。代表作は『VS騎土ラムネ&40炎』(パフェ役)、『南海奇皇』(島原海潮役)、『NieA_7』(ニアシメイ役)など。2009年よりオーストラリア在住。

Translated


Maaya Sakamoto as Mari Makinami Illustrious

Original Japanese

坂本真綾 (真希波・マリ・イラストリアス役)


自信に満ちていて、しかもEVAに乗れてホントに楽しいんだなっていう気持ちが伝わればいいかなって。

——まず『破』で新キャラクターとして参加された時は、いかがでしたか。

坂本  正直申し上げて『エヴァンゲリオン』には本当にうとくて、そういう意味では先人観なしでフラットに参加させていただきました。『エヴァ』と青春を過ごした熱いファンとは違う立場だからこそお引き受けできたというくらい、実は事の重大さを分かっていなかったところから始まってます。「新キャラが出るってどういうこと?」みたいな気持ちで嬉しいー方、何をもって私にしてくださったんだろうとドキドキしました。キャストを伏せた状態が長く続いていたんですが、発表されたとたん、どこに行っても、ものすごい反響をいただいたんです。スタッフ、キャストをはじめ、親戚や学生時代の友だちまで、ありとあらゆる人から「今度新キャラやるんだって?」と話題にしてくださったんですね。そのとき、これだけ大勢のお客さんに注目されている作品の、すごい重要な役をやらせていただくんだと、後からジワジワと気づいていった感じなんです。むしろそれくらいだからこそ、できたんだと思います。もともとエヴァ好きだったら、きっとプレッシャーに耐えられなかったかもしれませんね。

——『破』ではマリをどう描くかスタッフも悩ましかった中、坂本さんのテストテイクが素晴らしくて、録音に立ち会っていて空気が一変したのを覚えてます。

坂本  オーディションもなくて誰も声を聞いたことがないわけですから、マリとしての正解がない状態だったと思うんです。あの日は本当に見に来られた方が多くて、その視線を感じながら緊張しつつ演じたんですが、一方では楽しくもあったんです。割と自由に演ったら、それがあまりにもすんなりOKが出たんで、本当にいいのかなって不安に思ったくらいです。

——すごく良かったです。新キャラクターがまさに生命を獲得した瞬間でした。

坂本  演じる前には林原さんや緒方さんがロビーにいらして、「ようこそ、このエヴァの世界へ」って言われたんです。「20テイク、30テイクは当たり前だけど、みんなそうだから安心してね」とか言われて、「ええっ?」みたいな(笑)。かなりビクビクしながらブースに入っていったので、あの長いシーンが「今の感じで」とほぼ一発OKだったので「ホントに?」って。あまりにすんなり行ったので、ホッとしたり逆に懐疑的になったりで……。他の方とは絡んでないシーンなので、まずは自分のことだけ考えて集中できたのも良かったですね。マリ自身が初陣でドキドキワクワクしてる感じと、自分自身の心境がうまくシンクロしていたので、緊張感すら良いスパイスになって活かせたという感じだったと思います。

——やはりこの作品は、シンクロ感とライブ感が重要なんですね。

坂本  庵野さんからは「鶴巻に具体的なイメージを任せてあるから」と言われて、現場では鶴巻監督が「こうして欲しい」とおっしゃることが多く、お二人で音響監督みたいな感じでした。『破』の時点ではこの先どうなるか、私自身はもちろん知らなかったですが、皆さんにどう受け止められるかで、以後の役割も変わるんだろうなと思ってました。


ムリせず演じた結果2作目でなじんだ感じに

——スタッフ間でもマリは模索しながらでしたが、坂本さんとしてはどういうアプローチでしたか?

坂本  庵野さんからいただいた「昭和のオヤジ」というキーワードは、はっきりしていて分かりやすくて、やりやすかったです。他のキャラとは全然違っていますし、「なるほど」と腑に落ちた感じです。私も昭和生まれですし、落ちつけるというかムリしなくていいというか。台本上だと「ニャ」という口癖があったり、強気で変わっていて、ぶっとんだセリフもあったり、アニメっぽい可愛らしさもあるんで、自分があまり演ってこなかったキャラクターだと思ったんです。どれくらいつくり込むべきか、ちょっと分からなかったんですけど、フタを開けてみたら、自分から離れることはなかったんです。地声でしたし、かなりムリせずに演じることができましたね。「ニャ」って語尾にしても、「昭和のオヤジ」というキーワードの振れ幅の中で言えばいいんだなと、すごくスッキリしたんです。結局、自分らしいトーンでできて、すごくやりやすいところに落ち着きました。

——それをふまえて、今回の『Q』はどんな感じでしょうか?

坂本  どうやら前回、「ニャ」という口癖と「歌っていた」というとこにインパクトがあったようですね。今回は、そんな特徴をかなり踏襲していると感じました。とにかくずっと歌ってますし、「ニャ」って何度も言ってます。ただ今回は新キャラもたくさん登場しているし、目新しいものがいろいろ登場するので、みなさんの注目ポイントも分散されて、マリに関してはあまりサプライズはないかもしれません。

——その分、2作目にして非常になじんだ感じもしてます。

坂本  ありがたいことに、なじんだ感は私もすごくあります。これだけのチームにポッと入ってくるわけですから、最初は「受け人れてもらえるのかな?」と思ってました。最近の商品でも、以前からのキャラと同等に置かれているのを見て、「ずっといたみたいだな」って。新キャラだったことも、自分でもうっかり忘れてしまいそうなくらい溶け込ませていただいてるし、ありがたいなって思いつつ、すごくやりがいを感じています。今回の『Q』でも私と同様にドキドキしながら入ってきた新キャラがいっぱいいますが、私も1作分だけ先輩として落ちついてできたかなって。


楽しそうに鼻歌をずっと歌っているマリ

——前作との間に14年経過してたり、アスカと呼吸を合わせて戦っていることなどは、どんな説明がありましたか?

坂本  実は物語そのものの流れは、よく理解してなかったかもしれませんね。私の出番は戦闘シーンが多かったので、どういう敵と戦っているかとか、誰とどれくらいの距離にいるのかとか、そんなことを中心に考えてました。物語や設定は、正直よく分からないです。新キャラさんとも絡まないし、戦闘要員という感じでしたから。ただ、相変わらずひょうひようと、あまり悩んだりせずに、我が道を行くみたいな感じで演じてました。

——また「昭和の歌」を歌ってますね。

坂本  アバンではOFF(画面内にキャラが写っていない状態)でずっとマリの歌が聞こえているので、「アカペラで、お願いします」と懐メロを3~4曲、フルコーラスで歌った中から選ばれてます。すっかり鼻歌キャラになったなと(笑)。何か作業しながらだとは思うんですが、「あいかわらずマリは楽しそうだなあ、いいなあ」って思いつつ、とにかく楽しさが伝わるようにと思いました。

——役の解釈としては、他にどんなことを感じられましたか?

坂本  最初に庵野さんがおっしゃったことで印象に残っているのが、「言動と行動に差がない人」という言葉なんですね。裏表をそれほど考えなくていい。一貫して自分のやりたいことと言動が一致している。深みはもちろんあるにしても、裏の裏をかくとか考えなくてよくて、どちらかと言えばシンプルな人だって。実は最初に台本やキャラ表を見たときには、可愛かったり強気だったりいろんな顔を持っているけど、ホントはどんな魂胆があるんだろうって、まだ見えてないちょっと不思議な部分を感じてたんです。でも、彼女の行動に関してはあまり裏がなくて、グチグチ悩んだりもしないし、誰かを陥れたりするタイプでもない。どちらかと言えば、他の人たちよりも分かりやすいんです、この人はということを言われました。それで「あまり悩まなくていいな」と思ったんです。台本に見えてる部分に素直に演じていけばいいんだなと。ですから、今回も考えすぎないようにしています。周囲の状況に引っ張られず、常にマイペース。自分の持ち味を分かっていて行動している人。どんな状況であれ、割とポジティブだったり、自分に対する自信がすごくある人。そんな感じですね。特に戦闘シーンばかりだったので、自信に満ちていて、しかもEVAに乗れてホントに楽しいんだなっていう気持ちが伝わればいいかなって。


マリのことをもっと深く知りたい

——裏がないとは言いつつ、マリは独特の余裕がある表情も見せますよね。

坂本  どこか達観したような落ち着きがあるのかなと。何か俯瞰で見ているような視点もあり、客観的でもありますよね。だから余計にシンジとは同じところで会話していない感じになるんです。実はいろんなことを経験している人で、そういう余裕かもしれませんね。設定としては、私は分かってないんですが。

——今後への期待はありますか。

坂本  せっかく出てきた新キャラですから、可能な限り活躍してもらいたいです。今回もうちょっと出自が分かるかと思ったら、保留みたいになったので、次回ではいろんな謎が解明されるのか、マリのことをもっとよく知りたいと思ってます。『Q』は収録も順調で、さくっと戦闘して「お疲れさまでした!」みたいな感じ。知りたいと思っていたことが先延ばしになったので、早く知りたいなと。いつも台本いただくまで何も知らない状態なので、私自身も楽しませていただいてます。

——『Q』という作品に対しては、どんなことを感じられましたか。

坂本  『破』の時は、TVシリーズの場面もある中にマリがいるという感じだったので、勉強してきました。でも今回は、まるで知らないキャラがいる時点で驚いたし、設定にしても「完成品を観るまでいいや」とあきらめた部分もありました。

——ピンポイントで美味しいところを持ってく印象もありますね。昭和歌謡曲だけでなく、アニソンもありましたし。

坂本  『グランプリの鷹』(’77)なんて生まれる前の作品で知らなかったし、「歌いながらセリフに移行してほしい」って言われて(笑)。シリアスな場面はあまりなく、かと言って不真面目でもなくて、いつもニャニャしながら生き生きと活躍してますよね。サバサバしていてからっとしていて、他のみんなとあまりにも違い過ぎるから、それがいいなと思っています。

——最後に、みなさんへのメッセージをいただけますか。

坂本  まずは、マリをたくさんの方に受け止めていただいて、とても感謝しています。私としても、普段あまりできないような経験をさせていただける現場なので、刺激的ですし勉強になりますし、参加させていただいて良かったなと思います。たぶんこの先も、マリが私に残してくれるものって、ものすごく大きいと思ってます。何によらず新しいものって、普通に違和感があると思うんです。『破』ではその異物感こそが私の役割でしたが、想像以上にみなさんに受け人れられ、盛り上がっていただけて、ホントに嬉しかったです。もうずっといたんじゃないかって、私自身が思えるくらいになじませていただいたのも、みなさんのおかげです。『破』が公開になるまで不安もあったんですが、新作が楽しみになるくらいになりましたし、みなさんに育てていただいたキャラクターという気がしてます。ですから、最後までマリが何のために入ってきたのか、私といっしょに見届けていただけたらと思います。


さかもと・まあや 東京都出身。フォーチュレスト所属。代表作は『天空のエスカフローネ』(神崎ひとみ役)、『トップをねらえ2!』(ラルク・メルク・マール)、『荒川アンダーザブリッジ』(ニノ役)など。歌手としても大人気で、アルバム多数。

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Kotono Mitsuishi as Misato Katsuragi

Original Japanese

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Yuriko Yamaguchi as Ritsuko Akagi

Original Japanese

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Fumihiko Tachiki as Gendoh Ikari

Original Japanese

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Motomu Kiyokawa as Kohzo Fuyutsuki

Original Japanese

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Miyuki Sawashiro as Sakura Suzuhara

Original Japanese

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Akio Ootsuka as Kohji Takao

Original Japanese

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Sayaka Oohara as Sumire Nagara

Original Japanese

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Anri Katsu as Hideki Tama

Original Japanese

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Mariya Ise as Midori Kitakami

Original Japanese

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